相関した指標の confluence は random でも出る
チャート上に移動平均を 8 本並べて「全部が一致した!」 と見えるとき、 それは市場が構造を見せているからでしょうか、 それとも同じ価格の MA は数学的に冗長な作りだからでしょうか。 このページは予測ではなく、 統計でその問いに答えます。
方法
- 200 個の決定論的 random walk (固定 seed の Brownian + 小さな drift, 各 250 バー)
- 3 種の指標構成を各 walk に適用: (A) MA 5 本 (5/10/20/50/100), (B) Fibonacci 期間 MA 8 本 (3/5/8/13/21/34/55/89), (C) 多様系 5 本 (モメンタム / ボラ / 24 バー周期 / 長期 MA 乖離 / 独立ノイズ)
- 各 walk について K 個の指標の効果的独立数 N_eff = K² / Σᵢⱼ ρᵢⱼ² を計算 (Cheverud 系補正)
- 200 試行の N_eff 分布をヒストグラム化. trend 入りの観測系列 1 本を赤マーカーで重ねてパーセンタイル比較.
数式: N_eff = K² / Σᵢⱼ ρᵢⱼ² — K = 指標数. ρᵢⱼ = 指標 i, j の Pearson 相関. 完全に独立なら N_eff = K, 完全に冗長なら N_eff = 1.
A. 移動平均 5 本 (5 / 10 / 20 / 50 / 100)
FX で最頻の「5 指標 confluence」 構成. 同じ終値に異なる期間の MA を 5 本.
読み方: random walk であっても N_eff は 1.0〜1.7 に集中し、 見かけの K=5 には遠く及びません. 「5 個一致」 は実質 1〜2 票分の独立情報. random なデータが言わないことを市場が言っている、 とは限らない構成です.
B. Fibonacci 期間 MA 8 本 — 高冗長性の罠
期間 3, 5, 8, 13, 21, 34, 55, 89 の MA. リトレースメント / Elliott 系の解説で頻出する組み合わせ.
★ 読み方: random walk の N_eff 分布と、 trend 入りの観測系列の N_eff は ほぼ同じ位置. 観測は random 分布の 90 パーセンタイル付近 ——統計的に区別できません. 「Fibonacci MA 一致」 は指標設計の冗長性であって、 価格に構造があることの証拠ではありません.
C. 多様系 5 本 (モメンタム / ボラ / 周期 / 長期乖離 / ノイズ)
同じ価格系列に対して、 真に異なる種類の信号を 5 本.
読み方: random walk でも N_eff は K=5 近くに保たれる ——設計により独立性が保たれる例. 観測系列に実際の周期構造が入っていれば、 N_eff は random 帯から穏やかに外れます. 冗長性を排した指標群とはこういう振る舞いです.
結論
指標群の「一致度」 は、 主に指標構成の設計について語っていて、 市場について語っているわけではありません. 実チャートで「美しい」 と見える Fibonacci MA confluence は、 純粋なノイズでも同じくらい頻繁に現れます. honest な対策は「指標を増やす」 ことではなく、 真に異なるものを測る指標を選ぶこと、 そして構造的に冗長な panel での『一致』 は情報量が無いと受け入れることです.
研究の詳細
同じ解析を、 八値分類ラベル (Rei 研究 framework) 付きでさらに詳しく見られる版が、 運営者の研究 site にあります: rei-aios.pages.dev/#/neither-flat-eval ↗
このページが しないこと
- 価格の方向予測はしません. 目的はその逆 ——「一致は情報がない」 箇所を見せることです.
- 実市場データは使いません. 合成 random walk のみ ——指標の冗長性構造は同じです.
- どの指標構成も推奨しません. 「多様系」 (シナリオ C) でも予測力は保証されません.
- 投資助言は提供しません. 統計的なデモンストレーションであって、 トレード手法ではありません. (金商法 line-safe.)